【コラム】創業地トロントに見るカナダグースの人気とその理由の考察。アイデンティティの表現では?

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自分は毎日Yahoo!ニュースだけは欠かさず目を通している。政治や経済からスポーツや芸能関連まで、幅広いジャンルの情報を得られるため、ここ数年、海外生活に身を置く自分にとって、大筋の日本のトレンドのスピーディーな把握に大いに役立っている。

そんな中先日、次のようなニュースを目にした。

東京都心で氷点下4度 48年ぶり

日本経済新聞 電子版 2018年1月25日付

 日本列島は25日、強い冬型の気圧配置の影響で寒気が流れ込んだ。同日午前6時20分に東京都心で48年ぶりとなる氷点下4度を観測するなど厳しい冷え込みとなった。気象...

 

タイトルの通り、都心で48年ぶりにマイナス4度を観測したというのだ。僕は過去に10年東京に住んでいたから分かる。都心の冬は寒くても0度までしか下がらない。それがマイナス4度を記録したというのは、当時の僕なら驚きの人生初体験だろう。

しかし、カナダでの生活を始めて11か月が経過した今の自分にとって、「マイナス4度」はさほど驚きではない。なぜなら、ずっと滞在しているトロントの冬にマイナス気温は「当たり前」であり、時には「マイナス20度」、体感温度が「マイナス30度」と発表されている日も経験をしたからだ。

そして、「寒さ」と「カナダ」という2つのキーワードから、ずっと注目していた事柄がある。それが「カナダグース」だ。そして、この都心のマイナス気温観測のニュースと関連してかせずかはさておき、こんな記事も見つけた。

高級ダウン「カナダグース」都心で大増殖のなぜ

日経トレンディネット 2018年1月25日付

ここ最近、街中でよく見かける「カナダグース」のダウンジャケット。極寒地でも耐えられる機能性と、ブランドロゴのワッペンが特徴だ。価格は10万円前後と決して安くな...

 

肩にあしらわれたトリコロールワッペンが嫌でも目を引くダウンジャケット。10万円前後は値が張る、カナダ最大の都市であるトロント発の高級ブランドだ。

僕自身も、東京に住んでいた3年ほど前までは、都心で着ている人をちらほら目にしていた。そしてこうも思っていた。「なかなかオシャレなジャケットだな」と。しかしブランド名は知らなかった。「クロワッサンみたいなマーク」。それが当時自分が抱いていた「カナダグース」という未知のブランドの表現方法だったのだ。

そして、いま日本で注目度が急上昇のカナダグース。そんなこのブランド、発祥の地トロントでの人気は実際のところどうなのか?そんな皆の興味が尽きない、かどうかはさておき、この疑問を検証してみた。

 

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「カナダグース」とは

カナダグース(Canada Goose Inc.)は、サム・ティックというポーランドからの移民により1957年にMetro Sportswear Ltd.の名の下、トロントで創業された防寒用高級アパレルを製造する、カナダの会社である。

創業以来60年間に渡り、一貫した「メイドイン・カナダ」にこだわった生産を続けており、カナダはもとより世界中で支持されるブランドとして確率。南極探索隊やエベレスト登山、極寒冷地での映画撮影の公式ジャケットとして採用されてきた確固たる実績がある。

日本では、木村拓哉さんや多くの著名人が愛用していたことでファッション誌などを中心に注目され、高機能の防寒性とスタイリッシュなデザインが支持を集め、瞬く間に人気ブランドとなった。現在では日本の街中でも数多くの方々が着用されているのを目にすることができる。

「大人が最後に行き着くダウン。」そんなキャッチで特集されている記事もある。

ここ数年で人気を確立した『カナダグース』。大人が最後に行き着くダウンといっても過言ではありません。本格シーズン前の今から人気のアイテムとコーデを予習しましょう!

 

そんな世界で圧倒的な指示を得るカナダグース。では創業地、トロントでの実際の人気はどうなのか。

 

創業地トロントにおけるカナダグース人気は

ほぼ皆カナダグースを着ている。これが現地、トロントで生活して間も無く1年となる筆者がが抱いていた印象である。少し意識して街を歩くだけで、至る所にカナダグースのジャケットを着ている人々の姿を目にする。あの目を引くトリコロールワッペンを。

そこで、具体的な数字を提示するために簡単な検証を行ってみた。時間と場所を定め、実際の着用者の人数を数えてみたのである。

場所はトロント、ダウンタウンの中心地、Dundas-Yonge Square(ダンダス-ヤング スクエア)前。時間は平日の午後3時過ぎ。15分間この場から人々を観察し、その間に何人のカナダグース着用者が通るかをカウントしてみた。なお、ブラックレーベルも今回数に含めている。

 

結果は25人。単純計算で36秒に1人を目撃したことになる。これはかなりの数字ではないだろうか。

平日の夕方前とはいえ人通りはかなりある。目の前の歩行者が途切れることはほぼ無いぐらいに眼前を人々が横切る。これがさらに遅い時間であったり週末の土曜であると、さらにその数は多くなる。そして今回の結果をもとに考えると、同じ検証をその時間に試みれば20秒に1人はカナダグースを目にすることになると思われる。

それほどに、ここ創業地のトロントにおいても、カナダグーズ人気は確立されているのである。

 

東アジア系人種に極めて高い着用率

上記の検証を試みた結果、普段から感じていた考えがさらに明らかになった。それは、「カナダグース着用者は、圧倒的に東アジア系人種に多い」ということである。

もちろん白人のカナディアンやヨーロッパ系の人々にもカナダグース人気は確立されている。どちらかというとファッション性よりも実用性に重きを置く傾向がある彼らだが、事実その製品の機能性は非常に優れている。それは冒頭に挙げた探検隊などの採用実績が物語る。

白人系の女性

しかし明らかに、アジア系人種にカナダグース着用率が極めて目立つのである。そもそも「アジア系」と括るとその範囲はかなり幅広い。インド界隈の人々に代表される西アジア系。フィリピンなどの東南アジア系。そして東アジア系。中華圏や韓国そして日本など、ユーラシア大陸の東に位置する国や地域の人種だ。

さらに、とりわけ際立つのが圧倒的な東アジア人種によるカナダグースの高着用率である。

韓国出身と思われる女性

上記の検証結果で言えば、半数以上の15人が東アジア系の人々であった。では、なぜここまでにカナダグースは東アジア系の人種に人気があるのだろうか。

 

アイデンティティの表現なのでは

個人的な見解から仮説を提示すると、東アジア人のカナダグース高着用率の理由は、彼らの「カナダ人としての個々のアイデンティティの表現」ではないだろうか。

東アジア人にとって、ファッションに敏感な特徴に見て取れる「外見を重視する」と言う文化が存在する。彼らにとって、カナダグースを重用することは、アジアというこの北米とは別の大陸にルーツを持つ彼らにとって「自分はカナディアンである」という自己意識の主張を望む背景があるのではないだろうか。

中華圏出身と思われる女性

まず、ここトロントという街は「人種のモザイク」とも呼ばれ、各国からの移民が暮らす世界で最大規模の都市である。同都市が属する行政区画がオンタリオ州。ここには首都のオタワも属する。そのオンタリオ州全人口に対する移民率は政府のリリースによると実に29.1%にも上る。(2016 Census topic: Immigration and ethnocultural diversityより参照)。10人に3人はカナダ国外からの移民たちが暮らす州なのである。

参考までに、カナダ全体で見た移民の割合は21.9%。その他の州にも目を向けると、バンクーバーに代表されるブリティッシュコロンビア州は28.3%。モントリオールがありフランス語を公用語とするケベック州のそれは13.7%。そしてその他の州、準州に至っては1桁となる。トロントがあるオンタリオ州、アメリカの世界都市ニューヨークからわずか500キロ、航空機のフライト時間にして1時間半の場所に「人種のモザイク」が存在しているのである。

そして、そのトロントがあるオンタリオ州の移民の人口構成に目を向けてみる。CANADIAN MAGAZINE OF IMMIGRATION(Ontario: Immigrants by Country of Birth (2016 Census)によると、第1位はインドの36万人、ついで中国の31万7000人。まずはこの東アジアの超大国、中国人が東アジア。そしてその他の東アジア諸国を見てみると、香港が10位で10万8000人。5万7000人の17位が韓国となる。ちなみに日本人のオンタリオ州における人口構成はこのリリースではランク外である。

要は、北米以外からの、とりわけ中華圏からの移民が多く、彼らは「カナダ人」としてこの街で生活の基盤を築いている。そして彼らの「カナダ人」として、そして自国としてのアイデンティティを容易に表現できる方法が、カナダグースの着用なのではないのだろうか。なぜなら、「カナダ」の名を冠した誰でも分かるシンプルなネーミングと、簡素でありながらスタイリッシュなデザイン上にワンポイントで際立つ「カナダ」を主張するトリコロールのブランドロゴ。この2点が、東アジア人によるカナダグース人気の理由なのではないだろうか。

最後に一つ補足しておきたい。移民ではない東アジア人、すなわち留学や短期または長期就労等でトロントに滞在する東アジア人についてである。旅行者も然り。そして彼らのカナダグース人気ももちろんである。しかし、この対象者におけるこの高着用率は、異国への一時的な「憧れ」であろう。例えば、日本を訪れた外国人旅行者が、日の丸がデザインされた衣類やグッズを購入するのと同じ感覚。「カナダにいるのだから、それを実感したい」という考えが、カナダグースを羽織る理由付けになるのであろう。これも「アイデンティティの表現」ということができるかもしれないが。

結局のところ、カナダグースの創業地ここトロントでもそのブランドの人気はしっかりと確立されている。長く非常に寒いこの街で冬物ジャケットを購入するのであれば、まずカナダグースを買っておけば問題ない。

そして遠く離れた日本での大流行。ファッション性を非常に重視する日本人にとって、この先も長くこのブランドは生き残っていくと思う。なぜなら「大人が最後に行き着くダウン」だそうなので。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

たかむね

オーストラリア、カナダ、イギリスと現地で働きながら海外放浪生活中。これまでの渡航国は25ヵ国ほど。その旅情報をブログにまとめたり、前職の映像関連の経験を活かしての動画作成、写真などが趣味。最近の関心事は台湾文化と中国語学習。